三丁目の良子さん

◎良子のつぶやき

今週の映画評は「ゲティ家の身代金」です。

 

◎三丁目映画館~今週の桂木良子お薦め映画

「ゲティ家の身代金」

1973年に実際に起きた大富豪の孫の誘拐事件を、リドリー・スコット監督が映画化。イタリアの誘拐犯たちはのんびりした風情を漂わせて油断させられるが、一か所だけ目を背ける場面がありR15指定です。

 

この映画で最も印象的なのは、世界一の大富豪でありながら、16歳の孫ポールの身代金支払いを拒否するゲティ役のクリストファー・プラマー。最初に演じたケヴィン・スペイシーがセクハラ問題で完成間近に降板。急遽代役に抜擢され、わずか9日間で撮り直したというが、「サウンド・オブ・ミュージック」のお父さん役から50年余り経ち、88歳になられた彼が、傲慢な老人の醜悪さを見事に演じています。

 

ポール役は細身で金髪とアイドル性抜群のチャーリー・プラマー。息子を取り戻すために、義父ゲティ氏と誘拐犯の両方と闘うことになる母親役はミシェル・ウィリアムズ。

 

そして誰より監督のリドリー・スコットが凄い! 物語の中心となる人物の降板から数日間で映画を撮り直し、公開に間に合わせたという80歳の監督のエネルギーに脱帽。クリストファー・プラマー氏と共に、齢を重ねた人間の底力を感じます。

 

それにしても、薄情で強欲な祖父さんだと世間に叩かれたゲティ氏のケチぶりにふと考えさせられたのですが、客に電話を貸したくなくて家に公衆電話を設置したり、高級ホテルでルームサービスが高過ぎると自分で洗濯したり、孫の身代金に1700万ドルは高すぎると、330万ドルに値切ながら、小さな絵画を150万ドルで購入するゲティさん。もしかして、ケチと言われる人は自分の価値観に対するこだわりが強いだけなのかも… と。 広大な屋敷で、一枚の古い絵画を見つめながら、独りぼっちで生涯を終える様子は「市民ケーン」のラストシーンを観るようで印象的でした。

 

◎日曜かんたんブランチ

初夏のゴボウは柔らかくて香りもいいですね。「ごぼうのから揚げ」をご紹介しました。

 

◎昭和の名曲をあなたに

ジューンブライドの季節。佐良直美さん「世界は二人のために(s42)」をお届けしました。

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