三丁目の良子さん

◎良子のつぶやき

今週の映画評2本立て。「万引き家族」「恋は雨上がりのように」を紹介します。

 

◎三丁目映画館~今週の桂木良子お薦め映画

「万引き家族」

是枝裕和氏の監督・脚本・編集。カンヌ映画祭最高賞受賞。「誰も知らない」「そして父になる」「海よりもまだ深く」など様々な家族の形を描いてきた是枝裕和監督が、万引きによって生計を立てるいわくありげな家族の姿を描く。

 

都会の谷間に取り残されたような古い小さな平屋。家の中は乱雑で生活感が匂ってきそう。父と母と息子、そして母の妹、に見える家族は、祖母のわずかな年金を頼りにして暮らし、足りない分は万引きで補っている。その手口は鮮やかでチームワークは抜群。年金を使われるおばあちゃんも気の毒な被害者ではなく、どっこいしたたか。

 

小さな犯罪を積み上げて成り立つ怪しい家族だけれど、家の中は平和的で仲も良い。そんな彼らの秘密がある事件を境に暴かれてゆく。

 

まるで地のまま演じているようなリリー・フランキーや安藤サクラの評価は好みで分かれそう。子役が素晴らしく、城桧吏くんの目力は「誰も知らない」の柳楽優弥のよう。佐々木みゆちゃんも良かった。

 

世間から棄てられたような人たちが、肩を寄せ合って家族になる… こんな家族がどこかにいるかもしれないなぁ…と暗澹たる気持ちになる。とても印象的だけど、もう一度見たくはない、そんな映画。 PG12指定ですが、万引きも風俗も死体遺棄もあって未成年にはお薦めできません。精神的にタフなときに鑑賞することをお勧めします。

 

「恋は雨上がりのように」

ベストセラーコミックの映画化。

陸上100m走で将来を嘱望されながら、アキレス腱断裂によって夢を絶たれた少女あきらと、アルバイト先のファミレスの店長・近藤との恋の物語。

 

といっても恋をしているのは一方的にあきらの方で、バツイチ子持ちの45歳店長(大泉洋)はただただ戸惑うばかり。

 

女子高生に「好きです」なんて告白されたら、普通のオジサンは舞い上がってしまいそうなものだが、文学青年だった店長は分別もデリカシーも有る大人で、そこがまた彼女を夢中にさせる。あきら役は小松菜奈。なんだかとても大柄に見えて、大泉洋が華奢に見えます。 

 

若い日の恋はがむしゃらで前向きで待つことができない。それが相手を困らせることもあるなんて考えてみたこともなかった。 そんな若い日を思い出させてくれる映画でした。

 

◎日曜かんたんブランチ

初夏の香りです。さっぱりと「新生姜の炊き込みご飯」をご紹介しました。

 

◎昭和の名曲をあなたに

歌うハイセイコーと呼ばれた藤正樹さんの「忍ぶ雨(S48)」をお届けしました。

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