三丁目の良子さん

2024年1月7日放送分

桂木良子の映画感想
「PERFECT DAYS」

「パリ・テキサス」や「ベルリン天使の詩」のビム・ベンダース監督が描く人間ドラマ。主演の役所広司はカンヌ映画祭で日本人俳優として、柳楽優弥以来19年ぶり二人目の主演男優賞を受賞。地味だけどしみじみと味わいのある映画でした。

東京でトイレの清掃員として働く平山の生活は毎日ほとんど同じ。 近所の人の掃除の音で目覚め、布団をたたみ歯磨きして小さな植木鉢に水をやり、髭を整え、古いアパートを出るときは空を見上げて微笑む。そして自販機で缶コーヒーを買って車に乗り込み、カセットテープの音楽を聴きながら職場である東京都内のトイレをめぐる・・・という単調で穏やかな毎日が淡々と繰り返される。

しかし、そんな生活にもさざ波が立つこともあるし、密かな喜びを感じることもある。無口な平山の心のひだを、表情一つで演じてみせる役所広司の役者力が見事!華やかなスカイツリーを見上げる町で、時代に取り残されたような古いアパートに住む平山。シンプルに生き、真心をこめて働く姿に「一隅を照らす」という言葉を重ね合わせ、あなたはあなたの生き方で良いんだ・・・と言われたような気がして、ふと涙ぐんでしまいました。

登場人物は少ないがそれぞれに印象的で、歌も披露する石川さゆりさんの女優ぶりも見ものです。全体に単調になりがちなところをナイスチョイスな音楽の数々が補っていて、登場する公共トイレが建造物としてもなかなか素敵で、ロケ地巡りをしてみたくなります。

 

日曜かんたんブランチ
お正月のご馳走のあとはシンプルな「長ねぎのスープ」。ご紹介しました。

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