三丁目の良子さん

2023年10月15日放送分

桂木良子の映画感想
「BAD LANDS バッド・ランズ」

黒川博行の小説「勁草」を原田眞人監督が映画化したクライムサスペンス。登場人物はサイコパスな悪人たちと、哀しき弱者ばかり。

安藤サクラの演技力に圧倒され、闇社会の悲惨さに打ちのめされました。

 

冒頭で、特殊詐欺グループの手際の良さに驚く。主人公のネリ(安藤サクラ)は、受け子を見張って的確な支持を出す『3塁コーチ』の役割だが、組織化され役割分担された手口と、統制のとれたチームプレーに舌を巻く。ただ、登場人物たちの大阪弁がだらだらと早口のしゃべり方なので、耳が慣れるまでしばらくは何を言っているか解らなかった。

 

ネリを頼って身を寄せる弟のジョー役は山田涼介。悪人と小心者の顔を併せ持つ若者を好演しています。血は繋がっていないという姉と弟を繋ぐ過去や秘密が断片的に挟み込まれるが、痛めつけられ搾取され続けた二人の半生に絶句! 全部ひらがなで書かれた履歴書って哀しすぎます。

 

共演の生瀬勝久や江口のりこも個性強烈ですが、「舐めたらアカン!」と登場の天童よしみが悪党のゴッドマザー! 友情出演した3分程のシーンで雰囲気を変えてしまう存在感を発揮した岡田准一も素晴らしかった!

 

暗澹たる本作のかすかな灯りは弱者のヒロイズム。痩せた身体に白髪を総毛立てる宇崎竜童は、昭和ヤクザの浪花節的ヒロイズムで良いとこをさらい、

一人では生きて行けそうもないジョーが、姉に贈る最後のプレゼントにも若いヒロイズムが。

そして最後にネリがみせる大阪西成の最下層アパートに住む男たちへの心遣いと、夢見た未来へ向かって駆け出すラストにわずかの救いもあり。

 

日曜かんたんブランチ
「栗の鬼皮も渋皮もかんたんに剥ける方法」と「炊飯器で栗おこわ」をご紹介しました。

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