三丁目の良子さん

2023年9月10日放送分

桂木良子の映画感想
「春に散る」

ボクシングに命をかける男たちを描いた沢木耕太郎の同名小説を映画化。

 

不公平な判定負けをきっかけにアメリカに渡り、ホテル経営で成功して40年ぶりに帰国した元ボクサーの広岡と、同じく不公平な判定負けで心が折れていた若いボクサーの黒木が、居酒屋での出会いから拳を交わしあい、やがて世界チャンピオン・中西との世界戦という夢に向かって走り出す・・・

 

ボクシングには詳しくないのですが、出演者たちの熱演に引込まれました。黒木役は演技力抜群でストイック感が半端ない横浜流星。そして広岡の姪・佳菜子役は、出演作ごとにタイプの違う女性を難なく演じ分ける橋本環奈。さらに、中西役は窪田正孝。歯のない顔で不気味に笑う顔が怖かった!

片や、ベテラン組も負けてない。広岡役の佐藤浩市は白髪で存在感を放ち、片岡鶴太郎は飄々とした中にもボクシング経験者の面影を感じさせます。

 

役作りのためにボクシングを習い、プロの資格まで取得したという横浜流星の割れた腹筋や、ボクシングシーンの迫力に圧倒されて、あっと言う間の133分でしたが、観終わった後に残る疑問もあれこれ多数。

 

父親の遺したボクシングジムを受け継いだ令子(山口智子)と広岡の間には何か因縁があったの? 広岡の盟友だったはずの次郎(哀川翔)はなぜ敵対することに? 黒木と母親(坂井真紀)との愛憎も描き切れていないので、黒木が母親のために頑張るというのもいまひとつ説得力に欠けるし、佳菜子はいつの間にか広岡の家に同居してるし、ラストシーンでの黒木と佳菜子の幸せなそうな小市民の生活も、え?、いつの間に?感あり。

 

上・下2巻の長編小説を、ボクシングシーンに重点を置いた133分の映画にまとめるとなれば、人間関係のあれこれを端折るのもやむなしか。

突っ込みどころは多々あれど、そんなことも忘れるほど、迫力のボクシングシーンと男たちの熱演が心に残る映画でした。

 

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