三丁目の良子さん

◎良子のつぶやき

今週の良子お薦めの映画は「流浪の月」です。

 

◎三丁目映画館

「流浪の月」

2020年本屋大賞受賞の凪良ゆうの原作を、「怒り(2016)」の李相日監督が広瀬すずと松坂桃李の主演で映画化。深い孤独と重い愛に圧倒されるが、俳優陣の渾身の演技と叙情的な映像に150分の時間を忘れる。

 

雨の公園でびしょ濡れの10歳の少女・更紗に傘を差し掛けた19歳の大学生・文。伯母の家族と暮らす家に帰りたくないと言う更紗を文は自宅に連れて帰り、二人は2ヶ月を共に過ごすが、文は誘拐罪で逮捕される。そして15年後、被害者と加害者である更紗と文は再会する・・・

 

エッ!そこまでやるの?と、腹を括った女優魂を見せる広瀬すず。 痛々しいくらい痩せて透明感あふれる文を演じる松阪桃李。そして、爽やかなイケメンキャラを覆す捨て身の演技を見せる横浜流星。文の恋人役の多部未華子も、8歳の娘・梨花を更紗に預けて行方をくらます安西役の趣里も、出演者の演技が素晴らしい! 文の母親役の内田也哉子は、突然アップで映し出される顔が樹木希林さんの若い頃そっくりでぎょっ! そして何より子役の少女二人が素晴らしい。白鳥玉季さんは今後に大注目です。

 

誘拐犯の罪を被ってでも、死んでも知られたくないと言う文の秘密とは・・・ 

その悲しさに言葉を失うが、暗く重たい物語をホン・ギョンピョ撮影監督(「パラサイト半地下の家族」)は詩情あふれる映像で紡いでゆく。

水面に降る雨や昼の白い月、日常の何気ない仕草までが自然に溶け込んで美しい。

 

原作を未読者には、安西はどうなった?梨花ちゃんは?など、未消化の部分も残るが、「悪人」や「許されざる者」で絶望的な孤独感や不条理を描いた李相日監督は、本作でも同じように主演二人の圧倒的な存在感と孤独感で観客を打ちのめすが、わずかな救いも残してくれた。

人の愛に完全な形は無い。それぞれに欠けた部分を持ついびつな愛でも、それを互いに補い合って、人の愛は成り立つものだと。

 

◎日曜かんたんブランチ

旬の食材で美味しく健康に!「もずくとオクラのスープ」をご紹介しました。

 

ラジオは参加すると楽しさ倍増!
リクエストやあなたのつぶやき、お待ちしています!

最近の記事

ページTOPへ