三丁目の良子さん

◎良子のつぶやき

春が待ち遠しいですね。今週の映画は「スリー・ビルボード」をご紹介します。

 

◎三丁目映画館~今週の桂木良子お薦め映画

「スリー・ビルボード」

とても美しいのに暴力的で、絶望的なのに穏やかな余韻を残す… なんとも印象的な映画でした。  朝もやの立ち込める草原にのっそりと建つ古い看板。美しいソプラノが歌うアイルランド民謡「庭の千草」が流れる美しい幕開けです。

 

娘を無残に殺されて7か月が経っても犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、母のミルドレットが依頼した3枚の意見広告が、田舎町に波風を立てる。

 「警察署長は何をしているのか!」と名指しされたウェルビー署長は誠実で、家庭では良き父である。

そんな彼を尊敬する巡査のディクソンは人種差別を公言する暴力警官だが、家では飲んだくれで支配的な老母との二人暮らし。

では、被害者であるミルドレットはと言うと、女手ひとつで育てている娘を失って悲しみにくれる母… のイメージにはほど遠く、協調性の全く無い攻撃的な嫌われ者のタイプ。フランシス・マクドーマンドが迫真の演技で強烈な存在感を放っています。

 

登場人物全員が個性的ではあるが悪人ではない。それなのにいがみあい傷つけあう虚しさ。それを癒すかのような美しい映像と、シーン毎に印象的に挿入される音楽の数々。

 

アメリカは大きい! 私たちが知っているニューヨークやロサンゼルスのようなリベラルな大都会はごく一部で、多くの人は広大な土地に自分たちで決めた価値観に従って暮らしているらしい。 そこでは科学捜査や正義よりも、あらゆる差別や暴力が日常的に行われているようで、白人ではない我々日本人には恐ろしい。

 

どんな人でも、どんなところからでも人は再生できる…というかすかな希望を感じさせて、ベネチア国際映画祭で脚本賞、トロント国際映画祭でも最高賞を受賞しています。

 

◎日曜かんたんブランチ

電子レンジですぐできる「きな粉の蒸しパン」をご紹介しました。

 

◎昭和の名曲をあなたに

野路由紀子さんの「私が生まれて育ったところ(S46)」をお届けしました。

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