三丁目の良子さん

◎良子のつぶやき

春一番の嵐も吹いて、陽ざしに春の気配を感じることも多くなりましたね。

 

◎三丁目映画館~今週の桂木良子お薦め映画

「この世界の片隅に」

昨年公開されて高い評価を受けながら、なぜか石川県での上映が遅れ、単館系から時間をかけてようやく全館展開となったのを受けて、満を持してのお薦めします。

 これは絶対に観てほしい、観るべき映画です。

昭和10年から第二次世界大戦敗戦後までの広島県呉市を舞台に、絵を描くのが大好きな少女すずさんの過ごした日々がアニメーションで描かれる映画です。戦争や原爆への問題提起を叫ぶ映画ではなく、不条理な世の中を受けとめて生きた普通の人たちの姿を、穏やかに優しく、ときにユーモラスに描き出します。

 

大人にも子供にも、男性にも女性にも不条理な苦しみや悲しみはあり、

その不条理のひとつに戦争も原爆もあった。でも、そんな時代でも生きる楽しみはあり、他愛のない世間話に大笑いすることもあった… ときに理不尽な世の中を人はただ生きてゆく、人間とはそういうものだ…と、物語は淡々と進む。 

 

細やかに描かれる昭和の生活風景に郷愁を感じ、吐息のようなコトリンゴさんの歌も良い、そして何より能年玲奈さん改め、のんさんの声優が素晴らしい!彼女の声演がすずさんに人格と性格を与え、すずさんを生きている女性にした!

 

観客が終演後すぐに席を立たない、こんなに温かに余韻に満ちた劇場の風景を見るのは久しぶりでした。私は鑑賞中には泣かなかったのに、帰宅の車の中で父方の祖父が広島から婿養子にきたこと、その祖父の身内が父の従弟たった一人を除いてみんな原爆でなくなったと幼い日に父から聞いたこと、その父もまたすずさんと同じ被害にあって不自由な人生を生きたこと・・・を思い出し、みんな理不尽な世の中を生きてきたんだ…と、涙が溢れました。 立派な人や有名な人になれなくても、人はただ生きるだけで充分に立派なんだと確認できる映画です。

 

◎日曜かんたんブランチ

白菜の白い茎の部分を「白菜のステーキ」にして、美味しく食べちゃいましょう!

 

◎昭和の名曲をあなたに

作曲家の船村徹さんを追悼して、三橋美智也さんの「あの娘が泣いてる波止場(S30)」をお届けしました。

 

*各コーナーへの感想やリクエスト曲、あなたのつぶやきお便りもお待ちしています!

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