三丁目の良子さん

◎良子のつぶやき

早いもので、もう12月! 喪中欠礼のハガキも届くようになりました。亡くなったあの人この人を偲び、しみじみと一年を振り返る・・・ そんな季節でもありますね。

 

◎三丁目映画館~今週の桂木良子お薦め映画

「聖の青春」

将棋界で「東の羽生、西の村山」と称されながら29歳の若さでこの世を去った天才棋士・村山聖の人生を描いた、静かで熱い映画です。

 

村山役の松山ケンイチが別人かと見紛うほど体重を増やして演じ、その容姿の変貌振りに驚きます。 羽生善治役は東出昌大。ちょっとタイプが違うのでは?と思っていましたが、こちらは逆に体重を落として挑んだようで、将棋を指すときの表情や雰囲気がとても良く似ていました。俳優魂ってすごいですね。

 

部屋は散らかり放題で髪も爪も伸び放題。食も酒も無節制に生きた村山の日常は、他人から見れば自ら死を早めているようなもの。しかし幼少時から難病を患い、常に死の影を感じて生きてきた村山にとって、将棋以外のことに気を配るのは時間の浪費だと思えたのでしょうか、存在を主張するように、パチン!と叩き付けるように駒を打つ村山に対し、理知的で人を寄せ付けないオーラを放つ羽生。同世代ながら全くタイプの違う天才二人の将棋対決は鬼気迫るものがありました。 

 

将棋を知らない私には新鮮だったのですが、将棋は審判が勝ち負けを下すのではなく、本人が自ら「負けました」と言うのですね。それってつらいだろうなぁ・・・屈辱だろうなぁ・・・ 長時間に及ぶ対局のとき、「深い深い海に潜って行くようで、戻ってこれなくなるのでは・・・と怖くなるときがある」という羽生のセリフに、将棋って頭脳と気力と体力を必要とする沈黙の格闘技なんだなぁと胸が痛くなりました。 

そんな息詰まる映画の中で柔軟剤的な役割をはたしていたのが師匠の森役のリリー・フランキー。自然体の演技で、私は初めて彼を素敵だなと思いました。

 

若い人の死は涙を誘われるものですが、本作品は予想したほどには泣けません。それはあまりに短すぎた天才の人生を〝お涙ちょうだい“にしたくないという製作者の思いもあったのでしょうが、脚本と音楽があまり良くなかったせいもあると思います。素晴らしい俳優陣が熱演しているのに、少しもったいない気がします。

 

◎日曜かんたんブランチ

先週紹介した「かぶと柿のサラダ」で残ったカブの葉を利用して「カブの葉の箸やすめ」

ご紹介しました。

 

◎昭和の名曲をあなたに

S28年の鶴田浩二さんのヒット曲「街のサンドイッチマン」を お届けしました。

 

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