三丁目の良子さん

◎三丁目映画館~今週の桂木良子お薦め映画

「レヴェナント:蘇えりし者」

レオナルド・ディカプリオが念願のアカデミー賞主演男優賞を獲得した話題作。およそ200年前のアメリカ北西部の未開拓地で野生動物の毛皮を狩る狩猟団の道案内をつとめる男グラスを演じるディカプリオは、長い髪とヒゲ面で熊の毛皮を被り泥と血にまみれ、まるで50歳のおじさんのよう。おまけに2時間37分の長い映画の中で、笑うのはたった1回だけ。

 

毛皮を取るために野生動物を殺し、邪魔な先住民族を皆殺しにして女性を犯す白人狩猟団はやりたい放題。白人でありながら先住民族の女性と結婚して息子をもうけたグラスが、最愛の息子を殺され、瀕死の重傷を負って置き去りにされながらも、極寒の原野で300kmにも及ぶ追跡を繰り広げる本作は、寒い・痛い・重い・苦しい。普通の人間なら5回くらい死んでるはずのサバイバルを生き抜き、復習の鬼と化したディカプリオの迫真の演技は圧巻で、これで主演男優賞を取れなかったらディカプリオは絶望して引退したかも・・・と思えるほどです。

 

全編を通じて強烈に印象的なのは激しい怒り、とことん人を怒らせると本当に恐い。怒りは想像を超えるエネルギーを発揮させるんですね。

『復讐は神に委ねよう・・・』という台詞が何度か語られるが、その言葉とは裏腹に、充分すぎる復讐シーンが凄まじいです。

 

渡辺謙さん主演の「許されざる者」やケビン・コスナーの「ダンス・ウィズ・ウルブス」を思い起こさせる重い内容で、印象的な映画だけど、もう一度観るには気力と体力の補充が必要・・・という映画。アカデミー賞ってこういう映画にしか与えられないんですかね。映画は娯楽であり、社会的メッセージの意味があるとしても、もう少し楽しめる映画にも評価を与えてくれたら・・・と願う。

 

撮影賞を受賞した映像は壮大で美しく、坂本龍一の荘厳な音楽と相まって人間の卑小さを際立たせます。メキシコ出身のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督は前作の「バード」に続いてアカデミー賞監督賞を受賞しました。 

 

◎日曜かんたんブランチ

見た目にも美しい「蕗ご飯」をご紹介しました。

 

◎昭和の名曲をあなたに

富山市の上野さんのリクエストで、昭和47年の あがた森魚さんのヒット曲

「赤色エレジー」を お届けしました。

 

*各コーナーへの感想やリクエスト曲、あなたのつぶやきお便りもお待ちしています!

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