三丁目の良子さん

◎三丁目映画館~今週の桂木良子お薦め映画

「黄金のアデーレ 名画の帰還」

薄~い金箔をそっと置き、フッと息を吹きかけて貼り付ける… 日本の金箔のほとんどを生産する石川県の人々には馴染みのある光景にぐっとひきつけられて始まる… クリムトの描いたアデーレの肖像画は、金箔や銀箔で彩られたその豪華さから「黄金のアデーレ」と呼ばれるのだとか。第二次世界大戦中にナチスに奪われたこの名画を取り戻すため、オーストリア政府を相手に訴訟を起こしたアデーレの姪の実話を基に描く映画。 

 

82歳のマリア役を演じるヘレン・ミレンがなにしろ素敵。ヨーロッパの上流階級に育った品格と、アメリカで生きてきた強さとユーモアを同時に感じさせる姿に惚れ惚れする。大富豪のユダヤ人一族としてウイーンで優雅な暮らしを営んでいた華やかな少女時代から、ナチスに全財産を強奪され、夫と共に必死でアメリカへ逃げてきた20代…と、マリアの回想は続く。

 

『なにもかも忘れて静かに暮らしたい』と望みながらも名画の返還を求めて裁判を起こす82歳のマリア。両親を置き去りにしてきたという深い悔恨を抱えるマリアにとって「黄金のアデーレ」は単なる名画ではなく、優しかった叔母の思い出と、幸せだった家族の象徴なのだ。 

 

マリアに依頼された弁護士は孫ほど年の離れたランディ。なんとも気弱で頼りないランディがマリアとオーストリアを訪れたことで、自らもオーストリアの名門一族であるという誇りと自覚に目覚めて成長してゆく過程は力強く爽快だ。

 

ナチスの野蛮で非情な行いと、それに同調してユダヤの民を迫害した人々の愚かさ。盗品であると知りつつ名画の返却を拒んだオーストリア政府の狡さ。様々な要素を縦横に織り込みながら美しく織りあがった映画でした。

 

◎日曜かんたんブランチ

野菜が高価なこの時期にも安定した価格と美味しさが味わえる白菜をたっぷりと、「白菜のサラダ」をご紹介しました。

 

◎昭和の名曲をあなたに

銀幕デビューからわずか3年、21歳の若さで亡くなった“歌う映画スター”

昭和35年の赤木圭一郎さん「霧笛が俺を呼んでいる」作詞:水木かおる 作曲:藤原秀行 をお届けしました。

 

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