今週の金曜日のお客様、スタジオには「仕覆師」(しふくし)の小林和映さんにお越しいただきました。茶入や薄茶器、茶碗、挽家などの「茶」道具類を包む用途で知られる保護袋、「仕覆」。そんな日本の伝統的ものづくり文化を受け継ぐ小林さんに、様々なお話を伺いました。

  京都生まれで京都育ちの小林さんは、実家がお寺で、代々「仕覆」を作るお家柄ではあったものの母に続く4代目としての道を正式に歩み始めたのは社会人を経た42歳の頃。自身の病気なども改めて家業に向き合うきっかけとなったそうです。「仕覆」は茶道具の保護袋として知広くられるも、実際は「茶」文化以前…500年以上前から存在するものなのだそうで、日本独特の「ものを大切にする」様式美をもっと生かしたいとの思いから、小林さんは「一つの器に使える袋」という「仕覆」の定義を守りつつ、現代的なスタイルに変化させて「発信」を行っています。
 
 ワイングラス、カメラ…包むべき愛玩物は時代に応じてそれぞれ。「ヨーロッパ車用は実現できなかった」とまるで嘘のような話もありますが、それも受け皿となる小林さんの人柄ゆえのエピソードと捉えれば納得の一言です。思いを込めた製作者と、思いを持った使用者の同一直線上にいると自身の立ち位置を分析し、丁寧な手仕事を重ねる小林さんのお人柄と京都弁にしみじみと癒される贅沢な時間となりました。

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