三丁目の良子さん

三丁目映画館
「怪 物」

第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した話題作。

怪物とは誰なのか、物語の結末は? すべて観客の想像に任せます・・・ 

という、説明や評論がとても難しい映画でした。しかし、ぞわぞわした不安感や苦しさ切なさと同時に、美しい映像も印象的でした。

 

湖のある町に暮らすシングルマザーと小5の息子ミナト、父親と二人暮らしの星川君、担任の教師と校長先生。ある日、ミナトの漏らした小さなひと言でイジメに気付いた母親は学校に行くが、ヘラヘラした教師や、誠意のない学校側に怒りを募らせ、それはやがて世間を巻き込む大事に発展してゆく

 

息子を守りたい母親から見れば担任は最低のダメ教師だし、学校から見れば母親はモンスターペアレントそのもの。何事も各々の立場や視点によって違って見えるものだと、ひとつの出来事が三者三様の視点でリピートされる。そんな中で次第に明らかになるそれぞれの秘密。夫を亡くした母親、妻に去られた父親、孫を喪った校長先生、そしてミナトと星川君も・・・ 

 

黒川想矢と柊木陽太の二人の少年が素晴らしく、是枝裕和監督は子役の使い方が上手い!と感心しますが、安藤サクラや永山瑛太以外にも、田中裕子、中村獅童、高畑充希などが端役で、しかも癖のある役で出演している上に、音楽は坂本龍一という豪華キャストで、監督の力に驚かされる。

 

「誰にも言えない苦しみは、これを吹いて吐き出しなさい」と、校長先生がミナトと一緒に吹くトロンボーン。学校に響き渡る不気味な音の正体はこれだったのか・・・ まさに怪物の嗚咽じゃないか・・・と胸が苦しくなりました。

無表情な田中裕子の校長先生は不気味で怖いけれど、「特別な誰かしかなれないものは幸せじゃない。みんながなれるのが幸せです。」のひと言には大きく頷けました。

 

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