2024年7月21日放送分

桂木良子の映画感想
「クレオの夏休み」

夏は少年少女を主人公にした、ひと夏の想い出映画が観たくなるよね～　ベビーシッターよりも親密な関係の乳母をフランスではナニーと呼ぶらしいが、パリに住む６歳の少女クレオと、ナニーのグロリアとのひと夏と別れ、淡々とした日常が描かれる。

パリで父親と暮らす６歳のクレオはナニーのグロリアが大好き。ある日、母親が亡くなった報せを受けてグロリアは故郷であるアフリカの島国カーボベルデに帰ることになる。　突然の別れを受け入れられないクレオは、夏休みにカーボベルデに向けてひとり旅立つ･･･

到着先にグロリアが待っている約束だとしても、６歳の娘を一人でアフリカに行かせる父親に驚くが、６歳の娘の父親にしては少し高齢の気がするお父さんで、これもまた個性の国フランス流かと妙に感心。

美しい島の日常や素朴な人々。しかしクレオを我が子のように愛してくれたグロリアは、実の娘と息子を故郷の母に託してフランスへ働きに来ていたわけで、グロリアを取り戻したいと願うクレオと、母親の愛情をクレオに搾取されていたと感じる実子たちとの関係は微妙だが、グロリアの母さんとクレオのママがともにガンで亡くなったと分かるシーンでは不意に泣かされる。人種差別やフランスとアフリカの経済格差もさりげなく描かれるが、時折はさまれる柔らかでラフなタッチのアニメーションが緩衝材の役割を果たして、柔らかく物語を繋いでゆく。

まるでドキュメンタリー映画のような８３分だが、撮影当時５歳だったというクレオ役のルイーズ・モーロワ＝パンザニの自然な演技と、ラストの別れのシーンもフランス映画らしい切なさを残す。

日曜かんたんブランチ
南瓜をいつもとちょっと変えて「かぼちゃの爽やかサラダ」をご紹介しました。

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