今週の金曜日のお客様、スタジオにはNPO法人『人道の船 陽明丸顕彰会』理事長でいらっしゃる書・篆刻家の北室南苑(きたむろなんえん)さんにお越しいただきました。今年3月に発売され、好評増版中の(ご自身の)著書・「陽明丸と800人の子供たち」で描かれた私たちが“あまり知らない”100年前の史実、そしてなにより北室さんがこちら(本)を執筆された経緯について詳しくお話を伺いました。

 2009年にロシアで初の個展を催された際、その場を訪れたロシア女性に「親族がかつて日本の船に助けられたので、船長を探してほしい」と頼まれた北室さん。なんでも「名前に“室”がついているので、“室蘭”に寄った日本船と繋がりがあるかも」…という唐突すぎる理由…ですが、困惑しながらも“縁”を感じたそうで、「カヤハラ」という苗字だけを手掛かりに独自捜索をスタートさせます。
 
 ロシア革命後の混乱期、(アメリカの赤十字社の要請で)800人の子供難民を救うべく約3か月の大航海に挑んだ日本の貨物船・「陽明丸」…“突然”をきっかけにその使命感を引き継いだ北室さんは、「本当に楽しく、貴重な時間だった。」と発見までに要した2年と(ロシア女性を墓参に招くなど)その後に繋がった今日までを「奇跡」と振り返ります。
 
 「自分がいることで周りのみんながよくなることが、自分の幸福」と今の心境をまとめた北室さん。いまだに解明されない「陽明丸の“謎”」についても暫定的な結論を記したという熱の籠った渾身の著書、その存在自体の意味深さがうかがえる時間となりました。

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