| 第17章 金融・不動産の広告
(137) 金融業の広告で、業者の実態・サービス内容が視聴者の利益に反するものは取り扱わない。
本条の適用を受ける分野の中で最も視聴者の利益に留意しなければならないのは、消費者金融(消費者に対する金銭の貸し付け)に関するCMである。業として、金銭の貸し付けまたは金銭の貸借の媒介(手形の割り引き、売り渡し担保その他これに類する方法によってする金銭の交付、または当該方法によってする金銭の授受の媒介を含む。以下、これらを総称して単に「貸し付け」と言う。)を行うものは、次の2種に分類される。
(1) その事業について規定する特別法に存立の根拠を有し、業として金銭の貸し付けを行うことは、その特別法自体で認められているため、出資法による届け出の必要のないもの。……(例)銀行、信用金庫、質屋などが金銭の貸し付けを行う場合。
(2) 貸金業規制法による登録によって、業として金銭の貸し付けを行うもの。……(例)割賦販売業者、割賦購入あっせん業者(信販会社)、流通業者、消費者金融事業者、銀行系消費者ローン会社、商工ローン業者などが、金銭の貸し付けを行う場合。
消費者金融事業者の取り扱いについては、視聴者保護の理念から、(1)(2)を通じ、担保の有無を問わず、次の諸点に留意すべきである。
@ 特別法による根拠、または貸金業規制法による登録の要件を満たしている事業者であること。
A 消費者に過大な負担を課する金利水準でない事業者であること。
B 借り主の返済能力を十分勘案して貸し付けを行う事業者であること。
C 違法もしくは不当な取り立てを行わない事業者であること。
D 安易な借り入れを助長するCM表現でないこと。
E その他の点について、法令の要件に反しないこと。
(注1) 金利水準は、出資法の上限である実質年率29.2%以下でなければならないことは言うまでもないが、消費者に過大な負担を課するものは取り扱うべきではないという放送基準の理念を尊重し、各社が判断するよう努める。
(注2) 事業者の審査にあたっては、調査票の提出を求めることが望ましい(巻末「参考」参照)。
(138) 消費者金融のCMは、安易な借り入れを助長する表現であってはならない。特に、青少年への影響を十分考慮しなければならない。
消費者金融CMの取り扱いに関する放送基準審議会見解
日本民間放送連盟 2003(平成15)年3月5日決定
2003(平成15)年7月17日変更
放送基準第137条は金融業のCMについて「業者の実態・サービス内容が視聴者の利益に反するものは取り扱わない」と定め、同条解説文で視聴者保護の観点から消費者金融CMに関する具体的な留意事項を規定している。
しかし近年、消費者金融CM(消費者金融専業者、銀行系消費者ローン会社その他貸金業規制法にもとづき個人向け無担保貸し付けサービスを行う者の出稿にかかるCM)については、安易な借り入れを助長する表現内容を含んだものなど放送基準の規定から逸脱した事例が見られるとの意見もあり、放送の責任が厳しく問われている。また、日本経済の低迷が続く中、多重債務や自己破産が増加の一途をたどり社会問題化している。一方、昨年12月20日には放送と青少年に関する委員会が、“児童・青少年に配慮すべき時間帯”における放送自粛など3点の要望を含む見解を発表し、民放各社に善処を求めている。放送基準審議会ではこれらの指摘を真摯に受け止め、消費者金融CMの取り扱いには一層の配慮を要するものと判断した。
今後、消費者金融CMに関して、テレビ放送においては下記の各項を指針として対処するとともに、テレビ放送以外の放送においてはそれぞれの媒体特性を勘案して本見解の主旨を踏まえた取り組みを進め、その適正化が図られる必要がある。
なお、下記の指針については、引き続き消費者金融CMに対する各社の対応状況を見ながら、必要に応じて見直すこととする。
記
1.安易な借り入れを助長する表現の排除
安易な借り入れを助長する表現は、その疑いがあるものを含め、また表現手法のいかんを問わず、厳にこれを排除する。
2.児童・青少年への配慮
“児童・青少年に配慮する時間帯”とりわけ児童の視聴に十分配慮すべき午後5時〜9時の時間帯における消費者金融CMの放送は、自己破産や多重債務へつながる危険性あるいは事後の返済に関する責任について注意喚起するものなど、いわゆる啓発型CMを除き、避けることが望ましい。
なお、児童向け番組、各局が選定する「青少年に見てもらいたい番組」、児童・中学生・高校生が主体となるアマチュアスポーツ等のイベント番組には、上記時間はもとよりその他の時間帯においても、啓発型CMを含め消費者金融CMを放送しない。
3.貸付条件の明示
消費者金融のCMを放送するにあたっては、貸金業規制法に規定する貸付条件等を正確かつ明瞭に表示しなければならない。とくに貸付利率および遅延損害金、年齢制限については、視聴者が十分視認可能となるよう一定以上の文字の大きさと秒数(3.0秒程度)を確保する。
4.啓発文言の充実
“使いすぎ借りすぎへの注意”“計画的な借り入れ”に加え、“貸付条件の確認”に関しても注意を促すこととし、その表示にあたっては一定以上の文字の大きさと秒数(1.5秒程度)を確保する。
5.URL表示の制限
ホームページのURLは、その掲示内容が放送基準および本見解に照らして適正でなく、また適正さを保持し得ないと判断される場合、表示しない。
以上
(139) 不特定かつ多数の者に対して、利殖を約束し、またはこれを暗示して出資を求める広告は取り扱わない。
この種の広告には、あからさまに投資を勧めるものと、保証金、証拠金、入会金、会費などの名目で出資を求めるものとの2種類があり、業種は多岐にわたっている。いずれも、過去において倒産や業績不振などによって、大衆に多大の損害を与え、社会問題になった例が多い。後者の場合は、明らかに法律に違反するかどうか、早急に判断を下せないことがある。しかし、視聴者に不利益を与えるおそれが多いので、この種の広告は取り扱うべきではない。
なお、表現にあたって、出資を求めていない広告においても、広告主の実態が本条に抵触する事業を営んでいる場合には、取り扱わないことが望ましい。
(140) 投機性のある商品・サービスの広告は慎重な判断を要する。
業者の実態・サービス内容が視聴者の利益に反するものは取り扱わない(第137条)という観点から、原則的には投機性の高い商品・サービスは取り扱わないことが望ましい。
「金売買の広告の取り扱いについて」
日本民間放送連盟放送基準審議会見解 1980(昭和55)年1月
一般消費者に対し、延べ取引、予約取引などの名称で、金の先物取引類似行為を勧める業者が全国的に増え、その被害が社会問題となっていることに関連して……
「1.装身具、記念メダルなど金加工品については、品質、表示、業者の信用を慎重に考査する。
2.地金などの売買については、店頭現物売買に限るものとする。先物取引類似行為が予想されるものは取り扱わない。
3.利殖や投機性につながる表示を避け、相場などに触れることも避ける。
4.通信販売に類するものは特に注意する。
5.広告に際しては、先物取引を戒め、現物取引に限るなど、金取引の正しい知識の普及に資する内容を加えることが望ましい。」
「商品取引広告の取り扱いについて」
日本民間放送連盟放送基準審議会見解 1980(昭和55)年7月
(社)全国商品取引所連合会(全商連)と全国商品取引員協会連合会(全協連)が共管する「商品取引員の広告・宣伝に関する規制要綱」が、1980(昭和55)年6月1日改正でテレビ放送の原則的禁止を解除した結果、商品取引広告の引き合いが民放各社に見られるようになったことに関連して……
「民放としては、商品先物取引の投機性と、さる1977(昭和52)〜1978(昭和53)年以降、商品取引の悪質勧誘被害が社会問題化し、被害者の会なども生まれている実状から見て、たとえ業界サイドの「広告規制要綱」が緩和されても、一般視聴者に対する商品取引員の広告は、社名広告も含め、原則的に避ける扱いを続ける必要があると判断される。」
「東京金取引所の開設について」
日本民間放送連盟放送基準審議会見解 1982(昭57)年3月
「1982(昭和57)年2月1日に東京金取引所の創立総会が開催され、商品取引所法の規定に従い、定款・業務規程・受託契約準則などが決定した。
同定款は、「リスク開示」(登録外務員の投資勧誘にあたっては、商品先物取引には危険がつきものであり、それを承知で売買すべきであると説明することを義務づける)を規定するなど、一般大衆保護への配慮を示している。しかし、この「リスク開示」規定そのものが示すように、金の商品先物取引も、他の商品先物取引と同様、危険を伴うものであるから、金売買のCMは、現物取引を内容とするものに限るとする放送基準審議会見解(1980(昭和55)年1月)は当面これを維持し、また、商品取引員のCMは取り扱わないとする放送基準審議会見解(1980(昭和55)年7月)は、金の商品取引についてもこれを適用するのが適当であると考える。
なお、商品取引員のCMに関する上記見解は、「商品取引員の広告は社名広告も含め……避ける」とされている。
一方、1982(昭和57)年2月1日に創立総会が開催された東京金取引所には、大手総合商社数社が商品取引員として参加することが確実と見られている。これらの商社は、多角的な事業の一部として金商品取引員となるに過ぎないから、その社名CMまたは他事業部門のCMを取り扱うことは、なんらさしつかえないものと考えられる。ただし、これらの商社のCMで金の商品先物取引を内容とするものは、上記見解の趣旨に照らし、これを取り扱うべきではない。
一般的に、総合商社以外の商品取引員が、実質的に他の事業部門を有する場合も、上と同様に考えられる。」
(注) 同取引所は、商取法の定める諸手続(@許可申請‐13条、A主務大臣の許可‐15条、B創立登記により成立‐16条)を経て、1982(昭和57)年3月23日から取り引きを開始している。
(141) 宅地建物取引業法、建設業法により、登録された業者以外の広告は取り扱わない。
〔第143条解説参照〕
(142) 不動産の広告は、投機をあおる表現および誇大または虚偽の表現を用いてはならない。
〔第143条解説参照〕
(143) 法令に違反したものや、権利関係などを確認できない不動産などの広告は取り扱わない。
宅地建物取引業を営もうとする者は、都道府県知事(二つ以上の都道府県の区域内に事務所を設置して、その事業を営もうとする者は、国土交通大臣)の免許を受けなければならない。
また、建設業を営もうとする者は、都道府県知事または国土交通大臣(そのいずれかであるかは宅地建物取引業の場合と同じ)の許可を受けなければならない。これらの広告を取り扱う場合には、業者が免許または許可を受けていることが絶対必要な条件であるが、不動産取引は金額も大きく視聴者の利害に影響するところが大きいので、さらに業者の信用性を都道府県に照会するとともに、調査票を作成して業者に記入・提出を求めるなど、慎重な配慮が必要である。
不動産に関する広告は、物件広告と企業広告に大別されるが、このうち物件広告については、各地の不動産公正取引協議会が定めている「不動産の表示に関する公正競争規約」(全地区を通じてその内容は共通である)の適用を受ける。
しかし、1996(平成8)年の「不動産の表示に関する公正競争規約」の改正に伴い、ラジオ・テレビについては、必要表示事項はなくなり、不動産の内容や取り引き条件などの広告が可能となった。
ただし、広告で使用される用語やその他については公正競争規約の規定のほか、視聴者保護の観点から広告内容については十分、留意が必要である。
なお、不動産売買そのものではないが、レジャークラブ、ゴルフ場の会員募集、有料老人ホームの入居者募集などは金額も大きく、視聴者の利害に深く関係するので、慎重を期することが望ましい。レジャークラブやゴルフ場の会員募集については事業者に提出を求める際の調査票を巻末「参考」に掲載してある。
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