| 第16章 医療・医薬品・化粧品などの広告
(128) 医療・医薬品・医薬部外品・医療用具・化粧品・いわゆる健康食品などの広告で医師法・医療法・薬事法などに触れるおそれのあるものは取り扱わない。
医療、医薬品、医薬部外品、医療用具、化粧品などは、直接に生命や健康に影響があるので、これらの広告は法令によって、厳しく規制されている。また、それらの法令に関連する監督官庁の通達・通知類も多い。
医療・医薬品等の広告で、法令・通達などに反するものを取り扱わないことは当然であるが、医療・医薬品等に関して法令などに反する記述を内容とする出版物を広告する場合も、同様に考えなければならない。
いわゆる健康食品の広告で、医薬品等でなければ許されない効能効果などに関する広告表現を行うと薬事法違反となるので注意を要する。ただし、特定保健用食品(個別許可型)、栄養機能食品(規格基準型)などは、法令で認められた範囲での表現が可能である。
(129) 治験の被験者募集CMについては慎重に取り扱う。
治験の被験者募集CMの取り扱いについて
日本民間放送連盟 放送基準審議会見解 2001年9月27日
治験は、医薬品の開発のために患者などを対象として行う臨床試験であり、被験者の健康と生命に直接かかわる行為である。このため、被験者募集CMを放送する前提として、一般の視聴者(聴取者)が治験制度を十分に理解していることが重要である。これがあってはじめて、視聴者が治験への参加を適正に判断できると考えられる。
したがって放送基準審議会としては、治験制度自体の理解を促進するため、製薬団体あるいは製薬メーカーによる、治験の啓発CMの放送が必要であると考える。同時に民放各社も、治験制度の理解促進には協力することが望ましい。
また、個別の被験者募集CMを取り扱う場合は、放送の影響力の大きさを踏まえ、過大な治療効果を期待させないよう慎重な考査が必要である。被験者募集の最初の段階にあたる告知として適切な情報提供が必要であり、少なくとも以下の@〜Cの事項をわかりやすく表示しなければならない。
@ 治験は、医薬品開発のための臨床試験であること。
A 治験は副作用などの不利益が生じる場合もあること。
B 対象となる疾患名・症状名および主な参加条件。
C 問い合わせ先など、より詳細な情報を得るための方法。
この放送基準審議会見解は、被験者募集CMを取り扱う場合の最低限の基準を定めたものである。
なお、その他の表示については、「治験に係わる被験者募集のための情報提供要領」(2000年3月)など日本製薬工業協会の自主基準に基づいた内容とする。
この見解は、2001年10月8日から適用する。
以上
治験の被験者募集CMに関する表現例
放送基準審議会 2001年9月27日
治験の被験者募集CMを行う際の不利益に関する表現例は次のものが考えられる。この表現例の内容については日本製薬工業協会・医薬品評価委員会と協議のうえ、作成したものである。
〔例1〕治験は、医薬品開発のための臨床試験です。副作用など不利益が生じる場合もありますので、慎重にご検討ください。
〔例2〕治験は、医薬品開発のための臨床試験であり、有効性、安全性を確認するものです。治験に参加することによって、副作用など不利益が生じる場合もありますので、慎重にご検討ください。現在、治療を受けている方は、医師(主治医)にご相談ください。
以上
(130) 医業に関する広告は、医療法などに定められた事項の範囲を超えてはならない。
医業(歯科医業)または病院(診療所)に関する広告は、医療法などに細目が規定されており、定められた事項以外の広告はできないので、十分な注意が必要である。
1.医業(歯科医業)または病院(診療所)について広告できる事項は次のとおりと定められている(医療法第69条)。
(1) 医師または歯科医師である旨
(2) 診療科名(医療法第70条第1項、同施行令第5条の11)
内科、心療内科、精神科、神経科(神経内科)、呼吸器科、消化器科(胃腸科)、循環器科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚泌尿器科(皮膚科、泌尿器科)、性病科、こう門科、産婦人科(産科、婦人科)、眼科、耳鼻いんこう科、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科
なお、「麻酔科」については、医師(歯科医師)が個別に標榜の許可を受けている場合のみ広告できる。
(3) 病院または診療所の名称、電話番号および所在地を示す事項
(4) 常時、診療に従事する医師または歯科医師の氏名
(5) 診療日または診療時間
(6) 入院設備の有無
(7) 紹介することができる他の病院または診療所の名称
(8) 診療録(カルテ)その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができる旨
(9) 建物の内部に関する案内(病院に限る)
(10) その他、厚生労働大臣の定める事項
なお、(10)の厚生労働大臣の定める事項については、2002(平成14)3月厚生労働省告示第158号で列挙され、さらに厚生労働省医政局長通知「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等について」で具体的な解説を行っているので、確認する必要がある。
2.上記の事項を広告するにあたっては、@提供する医療の内容が他の病院、診療所または助産所と比較して優良である旨を広告してはならない、A提供する医療の内容に関して誇大な広告を行ってはならない、B広告の内容が虚偽にわたってはならない、と規定している(医療法第69条、同施行規則第42条の3)。
3.医療機関の建物の写真(イラストも含む)や当該医療機関が保有している医療設備、機器の写真など医療に密接に関わるものについては広告できない、とされている。
ただし、広告の背景等となる画面、音声等については、医業や病院に関する事項でない限りにおいては、特段、規制されない(1993(平成5)年6月厚生省健康政策局総務課長通知「医療法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う運用上の留意点について」)。
4.なお、助産師(医療法)やあん摩、マッサージ師、はり師、きゅう師(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)、柔道整復師(柔道整復師法)などの広告についても、それぞれ医師と同じような制限が設けられているため、広告内容については注意が必要である。
そのほか、獣医師に関しては、獣医師または診療施設の専門科名、獣医師の学位、称号のほかは、技能、療法または経歴に関する事項を広告してはならないと獣医療法で定められている。
(131) 医薬品・化粧品などの効能効果および安全性について、最大級またはこれに類する表現をしてはならない。
〔次条解説参照〕
(132) 医薬品・化粧品などの効能効果についての表現は、法令によって認められた範囲を超えてはならない。
医薬品等については、広告商品が製造承認を必要とするものであるかどうか、もしくは承認を受けたものであるかどうか、広告表現が効能効果との関係で許されるものであるかどうかなどに関し、厚生労働省または都道府県に照会することが望ましい。
医薬品には、日本薬局方に収められたものと、それ以外のものがあるが、いずれも原則として製造について厚生労働大臣の承認を必要とする。承認を必要とする医薬品については、その医薬品の効能効果を記載して承認申請を行うことになっており、広告を行う際には、認められた範囲を超えた表現をしてはならない。また、承認された効能効果の一部だけを特に強調したり、効能効果や安全性について確実であるように表現したり、最大級表現を用いたりすることは禁じられている。
この点は、医薬部外品、医療用具、化粧品についても同様である。
医療用具は、その多くが医療機関用のものであるため、一般消費者に広告することの可否、内容について確認する必要がある。
医療用具の承認のない健康器具、美容器具などについては、医薬品的な効能効果に触れてはならない。
承認を必要としない化粧品の効能効果の範囲は、「承認を要しない化粧品についての効能効果の表現の範囲」の別表(2000(平成12)年、医薬安全局長通知により改正)に定められている。
(133) 医療・医薬品の広告にあたっては、著しく不安・恐怖・楽観の感じを与えるおそれのある表現をしてはならない。
現に病気をしている人、体の弱い人、神経質な人などは、このような表現から悪影響を受けることがある。
(134) 医師、薬剤師、美容師などが医薬品・医薬部外品・医療用具・化粧品を推薦する広告は取り扱わない。
医業関係者、理容師、美容師、助産師、あるいは病院、診療所その他、効能、効果について視聴者の認識に相当の影響を与える官公庁や学校、団体などが、医薬品・医薬部外品・化粧品を公認し、推薦し、指導し、または使用しているなどの広告をしてはならない。
また、出演者が医師などの扮装をして広告することについては、「医薬関係者又は医薬関係者以外の者を問わず、医師、薬剤師、看護婦等のスタイル(服装等)の人が、広告中に登場すること自体は直ちに医療関係者の推薦に該当するわけではないが、医師等のスタイルの人が広告することは医薬関係者の推薦に該当する。また、芸能人等を使用しても同様とする」(厚生省薬務局監視指導課・東京都衛生局薬務部監修『医薬品・化粧品等広告の実際’94』薬業時報社)と説明されている。
(135) 懸賞の賞品として医薬品を提供する広告は、原則として取り扱わない。
医薬品は本来、症状に応じて適正に使用すべきものであるから、景品・賞品として提供する広告は原則として禁じられている。ただし、いわゆる家庭薬(通常家庭において用いられる対症療法剤)を見本として提供することは、例外的に認められている。
(136) いわゆる健康食品の広告で、医薬品的な効能・効果を表現してはならない。
広告が購買動機となり商品を使用することによって、視聴者の適切な治療の機会が奪われたり健康被害が生じたりするようなことはあってはならない。いわゆる健康食品は法令上、医薬品等ではなく、CMでは医薬品的な効能効果を表現してはならない。
また、番組本編で特定の原材料・成分の医薬品的な効能効果について言及することは可能であるが、その際、視聴者から見て「顧客を誘引する意図が明確」であり「特定食品の商品名等が明らかにされている」などと判断される場合、番組自体が医薬品的な効能効果を謳った広告とみなされ、薬事法あるいは健康増進法にもとづく措置の対象となるおそれがあるので注意が必要である。
さらに、番組本編で特定の原材料・成分の医薬品的な効能・効果について言及し、番組中あるいは番組に連続して放送するCMでその原材料・成分を含んだ商品の広告をすることも避けなければならない。視聴者から見て番組本編とCMが一体のものと認識されないよう、関連しない別番組をはさむなど、明確に区別する必要がある。
「持ち込み番組」に関する留意事項
(社)日本民間放送連盟 2001年3月14日
広告主・広告会社が主体となって企画し、完成されたかたちで放送局に持ち込まれる番組(以下「持ち込み番組」)には、特定の商品・サービスの広告効果を高めるために制作され、場合によっては関連CMとセットであるなど、放送基準に照らして望ましくない内容や表現手法、さらには関係法令に反するおそれのある内容も見受けられる。
このような「持ち込み番組」のうち、特に番組本編で特定の商品・サービスの広告につながる内容を含むものは、放送基準のみならず、放送法第51条の2〔広告放送の識別のための措置〕「一般放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない」との趣旨に照らして取り扱うべきでない。
番組本編のみを視聴すれば、特に広告的要素がなくとも、前後の商品・サービスCMと連続して視聴することにより、全体として特定商品・サービスの広告効果をもたらす場合には、以下の点に留意する。
1.「持ち込み番組」全般について
(1) 「持ち込み番組」といえども、番組である以上、内容についての責任は放送局にあるので、放送基準や関係法令に反するものは認められない。
(2) 広告主が信頼に値する業態かどうかを入念に確認する。広告主による印刷媒体やホームページなどを通した広告において、関係法令に反する表現がみられるものは取り扱わない。
(3) 広告主の関係者が頻繁に出演する場合、売名目的とみなされるものは取り扱わない。
(4) 他者のひぼう・中傷と受け取られる内容を含むものは取り扱わない。また、一方的な意見表明の場にならないよう十分に配慮する。
2.健康関連情報を提供する「持ち込み番組」について
(1) いわゆる健康食品や健康器具、化粧品などについて、特定の商品を明示して取り上げる場合、医薬品、医療用具的な効能・効果をうたっているものは取り扱わない。また、特定の健康関連サービスを明示的に取り上げる場合、医療的な効果をもたらすと視聴者に受け取られるようなものは取り扱わない。
(2) 病気に対する不安・焦燥・恐怖・楽観をことさらに煽るような表現はしない。番組全体を通して、視聴者に誤認を与えるような内容や、客観的事実を逸脱した表現とならないよう細心の注意を払う。
(3) 番組本編で、特定の原材料や成分の医薬品的な効能・効果を紹介する場合、番組本編ではもちろんのこと、番組直前および直後の商品CMでも、その原材料や成分を含む商品を紹介しない。また、番組本編と商品CMが一体のものとみなされないよう、明確に区別する措置を講じる(注)。
(注)番組本編と商品CMの関連が強い場合、番組本編で取り上げた原材料や成分の医薬品的な効能・効果が、その成分を含む商品自体の効能・効果と解され、全体を通して、薬事法第68条で禁じる「承認前の医薬品等の広告」とみなされるおそれがある。
番組本編と商品CMが一体のものとみなされないよう、例えば以下の措置を講じる必要がある。
@ 番組本編と商品CMとの間に、関連性のない番組やCMなどを一定時間以上挿入する。
A 番組出演者を商品CMに出演させない。
B 番組本編中で、商品に関する問い合わせ先を表示しない。
C 番組の終了を視聴者が明確に認識できるようにする。
以 上
|